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レインドロップ(土浦誕)

RLのようなそうでないような。
RLのつもりで書いたのだけど土浦→浜井美沙っぽいです。
需要は考えずに書きました。そしてぬるいです。

以下クリックで土浦誕SS。
白拍手!!!



俺の緊張はピークに達していた。

(幾ら俺が浜井美沙ファンだからってこんなサプライズは却って消耗するだけだろ……)

ひょんなことから俺は浜井美沙と二人きりの時間を共有している。
数日前、天羽から俺の誕生日を知らされたらしい月森から送られてきたのは一枚のチケット。
丁度俺の誕生日に浜井美沙のピアノリサイタルが開催されるので、俺が浜井ファンであることを知っている月森が誕生日祝いにと確保してくれたものだった。
単純にコンサートへの招待だと思っていた俺は、何の疑いも無く嬉々として月森に指定された時間に指定された場所へと向かった。
だが、そこに現れたのは月森ではなく、なんと浜井美沙だったのだ。
「お誕生日おめでとう、土浦君。」
あなたに一曲プレゼントして欲しいと蓮に頼まれたの、と言って微笑んだ彼女を見て漸く俺は月森に嵌められたのだと悟った。
俺にとって尊敬するピアニストと同じ時間を過ごす事はこの上ない僥倖ではあるのだが、だからといって無邪気に喜んでいられる余裕はこれっぽっちも無い。
会ったのはこれが初めてというわけではないというのに、彼女を前にすると自分でも滑稽なくらい思考能力が愚鈍になってしまうのだ。
それだけ浜井美沙の存在は俺にとって特別だということなのである。


「フフ、何の曲でもいいのよ、遠慮なく言って頂戴。」
リハーサルをしていたステージに通された俺に、浜井美沙はにっこりと微笑んだ。
「あ…え、と。じゃ、じゃあ、ショパンをお願いします。」
緊張でどもりながら俺は答えた。さしあたりショパンと答えたが、本当は彼女が弾くものなら何でも良かった。
彼女はこくりと頷くと、ピアノに向かった。
ショパンとしか伝えなかったため、弾き出すまでには暫しの間を要した。
ややあって、彼女はひとつを選択したという様に小さく頷くと、流れる様な美しさで鍵盤に指を滑らせた。
曲は、雨だれの前奏曲。
彼女のもつ優しい雰囲気にぴったり合ったその曲を聴いていると、ガチガチだった肩の力がふっと抜けた。
やはり浜井美沙は俺にとって唯一無二のピアニストなのだと再認識する。
俺は、初めて彼女の音楽に触れた日の事を思い返した。


学校帰りに寄った行きつけの楽器店。
そこでBGMとして流されていた演奏を聴いたのが浜井美沙との最初の出会いだ。
情感たっぷりな彼女の演奏に聞き入ってしまった俺は、一体これは誰が弾いているのかと店主に尋ねると、コンサート映像を引っ張り出して見せてくれた。
さらりとした髪、形の良い眉、色素の薄い肌、琥珀色の瞳、桜色の唇。
俺を惹きつけた音色を持つピアニストは、その容姿でも俺を魅了した。

(憧れっていうか、初恋だったかもしれないな)
彼女の整った横顔を眺めながら思う。


ピアノの旋律はしんしんと降る雨から激しい雨に。
大降りになると彼女の柔和だった表情も合わせて険しくなる。
その表情を見て俺はドキリとした。
(――月森!?)
思わずそう呟きそうになる程、彼女に月森の姿が重なったのだ。
各々が纏っている雰囲気から月森と浜井美沙には随分と違う印象を持っていた為、浜井美沙と月森が同化したことなど今まで一度も無かったというのに。
(初めてあいつと会った時だって、すっげぇ感じ悪くて浜井美沙の息子であることに気づかなかったもんな)
今度は月森と初めて会った時の事を思い浮かべる。
たしか、日野と話していたら廊下で「邪魔だ」と眉を顰められたのだったか。
矢張り浜井美沙との出会いとはまるで印象が違う。


――雨の旋律が次第に小降りになってきた。
合わせて浜井美沙の表情も再び柔らかさを取り戻す。
険が取れて月森ではなくなった浜井美沙に俺は僅かな口惜しさを感じ、はっとした。
浜井美沙を独り占めできる機会なんて一生に一度あるかないかの贅沢だというのに、気を散らすだなんて言語道断だ。
俺は息を大きく吸って再び浜井美沙の演奏に集中した。

最後の一雫が鍵盤に落ちる。
俺たちの他には誰もいないホールに雨だれの残響がふわりと溶けた。
音が完全に消えると、浜井美沙は椅子から立ち上がり、俺の方に一礼した。
浜井美沙に頭を下げられるなんて恐れ多すぎると思った俺はそれよりもさらに頭を低くして慇懃に礼を述べた。
「ふふ、私と二人だけだとやっぱり緊張してしまうかしら?あの子も来られればよかったんだけれど……学校が忙しいみたいで。ごめんなさいね。」
「そんな、謝らないで下さい!正直、緊張はしていますが俺はずっとあなたのファンだったので月も…蓮くんにはとても感謝しています。素晴らしい演奏をこんな間近で聴けて一生忘れない誕生日になりました。」
「私もやり甲斐があったわ。あの子ね、滅多に私に頼み事をしてこないのよ。少しは我侭言ってくれてもいいと思わない?」
浜井美沙は肩を竦めて微笑んだ。……やっぱり非の打ち所のない美人だ。
俺の顔に熱が集中する。
「確かに、彼は人に頼らず何でもやるというイメージがあります。家でも崩れないんですね。」
「そうなのよ。家族にまで気を遣うなんて水臭いわよね。でも――」
浜井美沙はピアノ脇に置いてあった楽譜ファイルを手に取り、ぱらりとそれを開いた。
「こんなサプライズを仕掛けるなんて、あなたには気を許している様な気がするわ。」
俺にも見えるように楽譜ファイルを傾けた。
中には手書きの楽譜。
隅のほうに、月森の字で「この曲を弾いて下さい」と書いたポストイットが貼られていた。
「これは……?」
「あの子が書いた曲のようね。……さぁ、これはどうしようかしら。弾いてくれとは言われたけれど。」
暫しの沈黙。
何かを考えているようだったが、やがてファイルはパタンと閉じられ、俺の方に差し出された。
「やっぱりこれは私には弾けない曲だわ。あの子に会った時に直接弾いて貰ってね」
浜井美沙は長い睫毛をぱさりとくっつけてウインクした。





*****





「よう、誕生日プレゼントありがとな。気持ちは嬉しかったが、ありゃないぜ…」
帰宅後、俺はウィーンにいる月森に電話をかけた。
心臓に悪いサプライズを咎めようと思ったのだ。
『母のコンサートは気に入ってもらえただろうか。』
いつもとかわらない、淡白にも聞こえるトーンで月森は言った。
こっちの気もしらないで平常心でいやがって、と心の中で毒づく。
「ああ、もちろんコンサートは最高だったぜ。だが、マンツーマンのプレゼントはもう勘弁だ。正直、緊張しすぎて何喋ったか覚えてない。憧れの人は憧れのままでいい、近寄るもんじゃないって実感した。」
『君でもそんな状態になるんだな』
受話器の向こうでフッ、と笑う声がかすかに聞こえた。
笑うな。
っつーか、その顔見せろ。
「来年はお前が直接祝ってくれよ。お前が作ってくれた曲、浜井美沙には弾けないんだとよ。」
『……帰国できたら、考えておこう。』
「その心配はいらねえよ。俺がそっち行く。」
『え?』
「待つのは柄じゃねえってことだ。」

浜井美沙は俺にとって特別な存在であることは紛れも無い事実なのだが、俺の中でもう月森はそれ以上の存在になっているのだ。
だから月森の書いた曲を浜井美沙が弾かないと言った時、俺は内心ほっとした。
五線紙に目を通した時、この旋律は月森の音で聴きたいと思ったから。

「ところで、そろそろ日付変わるが、おめでとうとはいってくれねえのか?」
『ああ…そうだったな。』

月森は一呼吸置いて言った。

『――Alles Gute zum Geburtstag』


「サンキュ。今夜はいい夢がみられそうだぜ。」

俺はそう言って携帯のボタンを押した。
窓に目を向けると小さな雨粒がぽたりと水玉模様をつくっている。
俺は今日の浜井美沙の演奏を思い出した。
そういえば、雨だれの前奏曲は、ショパンがなかなか帰らない恋人を待ちながら作った曲だったか。

「やっぱ、俺には待ってるだけってのは無理だな」
カーテンを閉めながら俺はひとり呟いた。





<fin>





土浦おそくなってすまない。おめでとーー!!
昨日寝落ちしたり今日レッスンDAYだってことわすれてて中座したりしてたらこんなじかんに。
土浦の喜ぶものなんだろうって考えて、浜井美沙じゃね?と思った結果の産物でした。
もうちょっと浜井厨フルスロットルにしたかったけど頭が足りなかった。
 23:24 |  妄想垂れ流し【腐】 |  comment (0)  | EDIT
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ゲーマーでレイヤーで腐女子で文化系女子でネオロマンサーでちょっぴり小2病気味なロデオガール兼アバル信徒兼㌧ペン。
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